自分にとってのアニメとは

初めてアニメに興味を持ったのはダカーポの桜のシーンがきっかけだった。


それまではアニメといえばアンパンマンドラえもんクレヨンしんちゃん忍たま乱太郎などいわゆる健全なアニメ(いや、他のアニメが健全では無いという意味では無いが)ばかりを、興味も無くただ他に見るモノが無いから流し見するぐらいだった。興味はあったのかも知れないが記憶がないからまぁ自分にとってのアニメはそんなモノだったんだろう。
しかしダカーポの桜のシーンだけは違った。そのシーンだけは覚えていてなにやら楽しそうで何か引き込まれそうにテレビをまじまじと見ていた。


当時僕は中学生だった。自分の部屋は無く、兄と同じ部屋だった。寝る場所は二段ベットで弟の僕が上で寝ていた、何故か両親の計らいで二段ベットの横にはテレビが置かれていた。本棚を二段ベットの枕元に寄せて、本棚の一番上にテレビを収納。ベットの中で頭だけを左に向ければすぐ目の前にはテレビが置かれていた。距離は30センチも無かったかも知れない、ちなみに今の僕は視力激減でメガネをかけてないと生活が出来ない状態の視力だ。
中学生の男が、夜に、誰もジャマされずに、テレビを見られる状態、これが意味することはただ一つ。エッチな番組を見ることだ。僕が住んでいた千葉県のローカル番組ではお正月にAVカルタをやっていたのを良く覚えてるよ、AVのパッケージでAV女優がカルタ遊びをしているんだ。何故か水着で。正解したあとにAVのシーンをちょっとだけ、まぁ放送コードには引っかからないような所だけど、ちょっとだけ右下に流れる所に全神経を集中していた事もありました。翌年も楽しみにしてたのに放送されなかったけど。


話を戻そう。つまり夜中に自由にテレビが見れる状況だったんだ。その日も目当ての番組が無いかとチャンネルを回していたら桜のシーンに巡り会ったってわけ。
画面いっぱいに桜が咲いていて、桜の花びらが舞っていて何だか釘付けになってしまった。初めは何の番組かはよく分からなかったけど、帽子をかぶった女の子が出てきてすぐにアニメだと分かった。何を言っていたのか覚えてはいないが「あー綺麗だな−」と眺めていたような気がする。それから毎週見始めて・・・いたような気がするがダカーポの事は良く覚えていないんだ、桜のシーン以外は、なんだろね。ダカーポで初めて「こんな世界があるんだ!」と知った僕は他にも深夜アニメが無いかと探して見まくった思い出がある。記憶がごっちゃになっているかも知れないが思い出せる限りだと、ムスメットアルティメットガールやあまえないでよ、こいこい7マジカノは同じ時期だったっけ?それらをあの2段ベットの上で見ていた。本来の目的も忘れていなかったからエッチなシーンには凄く興奮していたと思う、とくにアルティメットガール、お世話になりました。この頃で自分の性癖はねじ曲がってしまったのかも知れない。


自分の中でアニメによる革命があるとしたら1つめは間違いなく「ダカーポ」だ。いや、ダ・カーポだったっけ?そして次の2つめは「げんしけん」だ。
いつものように布団の中で横になりながらテレビを見ていると軽快な音楽とともにバッグを背負った男が歩いていた。げんしけん1期のOPだ。このアニメは純粋に話が面白かったし自分にも合っていた、他にアニメを楽しんでいる集団がいることやコミックマーケットの存在を知ることが出来たし、大学生活というモノを題材にした何かを見たことも無かったから新鮮だった。うらやましかった。視野が広がったきっかけになったアニメだった。この頃に電車男とかが話題になってきたあたりだったかな?


そして中学を卒業、高校はそれなりにアニメを楽しんでたし仲間も出来た。色々と見る数が増えてきたし、アニメがある生活が普通になってきた。
だけど「このままでいいのか?」と思い始めるようになった。アニメなんて所詮子供が見るものだと思っていたんだ。見ていても学生までで大人になったら見なくなるのが普通だと思っていた。そして僕は高校卒業して就職と同時にアニメを見るのをやめた。全く見ないようにした、「社会人になるんだからちゃんとしなきゃいけない」と思い込んでいたんだね、凄く視野が狭い考え方をしていたと自分でも思うよ。アニメを見ないために具体的にしたことはテレビを部屋に置かなかった。就職は実家から遠くの所を選んで一人暮らし、全てを新しくして理想の自分になろうとがんばっていた。「本当の私、デビュー」だ。


しかしうまくいかなかった。仕事はがんばってある程度は褒められた、求める理想は実現できていたし楽しい所も分かってきた、当時の仕事はうまくいっていた。(今はまぁ無職なんだけど、それと今回の話とは全くの別だ。)だけど何かが楽しくなかった。仕事はがんばれば褒められるし、確かに疲れはするが楽しいから別に気にならなかった。が家に帰ったら無気力の塊になってしまった。何もすることも無くゴロゴロするだけだったのだ、とてもツマラナカッタ。
生活面では理想が実現することが出来ていなかった。何かが足りなかったのだ。
そして気づいたらテレビとDVDレコーダーが家にあった。気づいたらってことは無いのだけれども、購入しようとしたきっかけを思い出すことが出来ないのだ。でもまぁ書いてきた話の流れ的にアニメを体が欲していたんだろうね(欲していたとかwうけるw)ということは何となく今の自分の考えとしてはある。というか買ってきた理由がそれしか思いつかない。


そして自分の中でのアニメの革命その3が「とらドラ」だ。
それは出社前の朝、30分ぐらいなら余裕があることを確認してから新品のレコーダーの中に録画したアニメの新番組を見ていた。ただただボーッと見ていた。画面の中は同じ朝で、男の声が、女の声が交互に聞こえて最後には二人の声が重なって同じ言葉をしゃべっている。その時は「あー始まったー」とぼんやり見ていたが、徐々に、なんだか少しずつ目に力が戻ってきたような不思議な感覚が沸いてきて、活力が沸いてきた。凄く元気になって、楽しくなってきた。アニメを見ただけなのに、何故かうきうきしてきた。会社から帰ってきたあとも繰り返し見ていた。「ああそっか、アニメは自分にとって必要なモノなんだ」その時分かった。アニメは子供が見るものなんて狭い世界の考えだったとその時分かった。好きなものだったら我慢しないで見たらよかった事にその時分かった。


これが僕にとってのアニメ